親との同居をふまえた婚活の進め方|同居希望側・受け入れ側それぞれの準備と確認ポイント

親同居の婚活で大切な前提
同居は結婚観の中心にあるテーマ
居住地や家事分担と同じように、同居は「どこで・誰と・どんな環境で暮らすか」を決める、結婚生活の根幹に関わる重要項目です。
特に、家族観や親との距離感は「IBJ 成婚白書2024年」でも重視されている価値観の一つであり、生活の相性に直結するとされています。
つまり、同居の有無は“おまけの条件”ではなく、結婚観の方向性そのものを示す大切なテーマとして捉える必要があります。
早めに伝えるほど交際は安定する
同居条件を後から伝えると、「なぜ最初から言ってくれなかったの?」という不信感につながり、破談理由にもなり得ます。
一方で、初期の段階で共有すると相手も心の準備ができ、交際はむしろ安定しやすくなります。
具体的には、仮交際2〜4回目デートで生活観や家族との距離感を話すのがおすすめです。この時期は自然に価値観をすり合わせやすいタイミングです。
また、IBJではプロフィールの「お相手への希望」欄で 自分家族と同居:希望する/希望しない/こだわらない を選択できます。ここを曖昧にすると後でトラブルになりやすいため、プロフィールは正直に、誠実に記載することが大切です。
「固定」か「相談ベース」かを明確にする
「絶対に同居が必要(固定)」なのか、「状況に応じて変えられる(相談ベース)」なのかで、相手が受け取る印象は大きく変わります。
曖昧なまま交際を進めると、後半で価値観のズレが表面化し、関係が一気に不安定になりやすいのが現実です。そのため、最初に“どこまでが固定で、どこからが柔軟なのか”をセットで言語化しておくことが大切です。
また、これらの条件は後出しにしないことが重要で、特に真剣交際前までには必ず共有しておく必要があります。
段階的な同居(まず二人→後から同居)という選択肢
「まずは二人だけで生活を整えてから、数年後に同居へ移行する」という段階的なパターンもよくあります。
親御さまの状況や新婚期に生活基盤をつくりたい意向から、むしろ合理的な選択になることも少なくありません。
ただし、この方針も後から伝えると誤解が生まれやすいため、真剣交際前までに“時期の目安”や“同居が必要になる背景”を丁寧に共有しておくことが重要です。
親同居は本当に不利なのか?
不利なのは「同居」ではなく「家族観の不一致」
親と同居している、あるいは将来的に同居の可能性があること自体は、必ずしも不利な条件ではありません。「IBJ 成婚白書2024年」では、パートナー選びにおいて“価値観”を重視する傾向が示されています。
この点を踏まえると、同居の有無そのものよりも、“家族観や結婚観が一致しているかどうか”が結果に影響していると考えられます。これは結婚相談所Owenが現場で多くの成婚・交際終了を見てきた中でも、非常に実感に近い部分です。
つまり、不利になるのは“同居という事実”ではなく、「親との距離感」「役割分担」「家族に対するスタンス」がかみ合っていない状態そのものだと言えます。
同居そのものより「伝え方」と「整理度」で結果が変わる
同居条件が不利に働くケースの多くは、同居という条件そのものよりも、「情報が整理されていない」「理由や背景が説明されていない」「後から突然伝えられた」といった“伝え方の問題”が原因です。
なぜ同居が必要なのか、どの程度の距離感なのか、将来どのように変わり得るのかを言語化し、早い段階で共有できていれば、相手は冷静に判断しやすくなります。
つまり、同居があるかどうかではなく、“どれだけ整理されていて、どれだけ誠実に伝えられているか”によって、交際や成婚の結果は大きく変わってきます。
政府データから見る「同居」のリアル
総務省 国勢調査(同居・近居の地域差)
日本では「三世代同居・近居」の割合は地域や世帯の条件によって違いがあります。例えば、総務省「国民生活基礎調査」の最新版では、65歳以上の者の家族形態をみた時、「子と同居」が33.7%と示されており、必ずしも同居が多数派ではないことが分かります。 ※1
また、地域研究では、東北や北陸などでは同居率が比較的高く、西日本で低めという地域差も確認されています。 ※2
→ つまり「同居/近居」がゼロではないものの、都市部では減少傾向があり、地方では維持またはわずかに増える傾向もあるという実態があります。 ※3
※1:総務省(厚生労働省)「国民生活基礎調査(令和4年)」
65歳以上の家族形態「子と同居 33.8%」
※2:国立社会保障・人口問題研究所(IPSS)
地域別の家族構成・同居傾向に関する資料(家族と地域の研究 PDF)
https://www.ipss.go.jp/publication/j/shiryou/no.34/data/SH34.pdf
内閣府 世論調査(相互支援意識の上昇)
近年、親の生活支援や子育て支援をめぐる意識が高まっており、「親を助けたい」「子育てを手伝ってほしい」という“世代間の相互支援”の考え方が強まっています。例えば、内閣府「人々のつながりに関する基礎調査(令和5年)」では、社会的なつながりや世代間の支援意識に関するデータが掲載されています。 ※4
→ このような意識変化を背景に、「同居=負担」というイメージだけではなく、「支えあう暮らし方」という選択肢も現実味を帯びています。
※4:内閣府「人々のつながりに関する基礎調査(令和5年)」結果概要(PDF)
厚生労働省 介護実態調査(家族+外部サービスが多数派)
高齢化社会を背景に、介護の担い手として「家族だけ」が対応しているわけではなく、外部サービスを併用している世帯が多数派となっています。
例えば、厚生労働省「国民生活基礎調査」では、世帯類型として「子と同居」「その他の親族と同居」などが統計化されており、同居形態が多様である実態が明らかです。 ※5
また、在宅介護実態調査では「サービス利用」と「家族の対応」が併存している状況が報告されています。 ※6
→ このことから「同居=全て家族で負担」という誤解を減らし、「同居・近居+サービス併用」という選択肢を交際時に整理しておくことが合理的と言えます。
※5:厚生労働省「国民生活基礎調査」
世帯類型・同居形態などの統計データ
※6:厚生労働省「在宅介護実態調査」
家族介護とサービス利用の実態データ
【同居希望側】が準備すべきこと
1. 同居の「理由」を説明できるようにする
同居が必要な理由を言語化できていると、相手は状況を理解しやすく、受け止め方も大きく変わります。
理由が曖昧なまま「同居です」とだけ伝えると、“強制力のある条件”として受け取られやすいため、背景の整理が重要です。
例)
- 親が高齢でサポートが必要
- 二世帯住宅で生活動線が分かれており、実質的には独立性が高い
- 地元に基盤(仕事・地域コミュニティ)があり、離れにくい
- 将来的に介護を兄弟と分担する意向がある
→ 理由を丁寧に伝えると、相手は「条件」ではなく「背景」として理解できる。
2. 同居レベルを整理する(3段階)
同居と言っても形はさまざまで、誤解が生じやすいポイントです。
最初から「どのレベルを想定しているか」を明確にしておくことで、ズレを防ぎ、話し合いがスムーズになります。
- 完全同居(同じ玄関・同じ生活動線)
- 部分同居(二世帯住宅・生活動線が独立/水回り別)
- 近居(徒歩圏内で頻繁に行き来、必要時のサポートが前提)
→ 実際には“部分同居〜近居”が現実的なケースも多く、最初に整理しておくと相手も安心できる。
3. 家族内の生活ルールを明確に
同居で大きく不安が生まれやすいのは、環境そのものよりも「何がどう決まっているのか」が見えていない点です。
あらかじめ家族内のルールがある程度固まっていると、相手は安心して将来像を描けます。
検討すべきポイント:
- プライバシー(生活スペースの分け方、干渉しない領域)
- 家事分担(親が主体か、夫婦主体か、完全分離か)
- 干渉の有無(生活リズム・家族イベント・日常介入の線引き)
- 経済面(家賃・光熱費・食費・修繕費などの負担割合)
→ “どれだけ明確に線引きできているか” が相手の安心感に直結する。
【受け入れ側】が整理しておくこと
1. 受け入れ可否のレベルを決めておく
同居に対するスタンスは、交際中だけでなく、お見合いの申込を受けるかどうか判断するときや、相手のプロフィール欄に「同居希望」があった場合の初期判断にも大きく関わります。
そのため、まず自分が「どのレベルまでなら受け入れられるか」を明確にしておくことが重要です。
例)
- 積極的にOK(親を含めた関係性づくりに前向き)
- 条件付きならOK(二世帯住宅/生活動線が分かれている場合/期間限定なら)
- 近居ならOK(徒歩圏・数駅圏内でのサポート前提なら問題ない)
- 同居は難しい(生活リズム・プライバシー・価値観的に負担が大きい)
→ この基準があると、申受け可否・申込み判断・お見合い時の確認ポイントがブレずに済みます。
2. 不安の言語化(事前整理)
同居への不安は自然なもので、否定する必要はありません。ただ、その不安を言語化できていないと、
- 申受け判断で迷う
- お見合いで何を確認すればいいかわからない
- 交際中に違和感が蓄積する
などの問題が起こりやすくなります。
事前に「自分は何が不安なのか」を整理しておくことが大切です。
よくある懸念:
- 生活リズム(朝型/夜型、在宅勤務、生活音)
- プライバシー(自分のスペースや時間の確保)
- 親の干渉(生活への介入、価値観の違い)
- 経済負担(住居費・光熱費・食費の扱い)
- 介護の分担(将来どこまで関与するのか、外部サービス前提か)
→ これらを整理しておくことで、
プロフィール確認 → 申受け判断 → お見合い質問 → 仮交際の話し合い
という一連の流れが明確になり、混乱や後悔が減ります。
プロフィールでの伝え方
同居希望側(例文/生活動線・プライバシーまで含めた改善版)
同居希望側のプロフィールは、
①理由、②生活イメージ、③プライバシー配慮、④相談姿勢
を入れることで、お相手の不安を大幅に軽減できます。
例文(改善版)
高齢の母と同居しており、日常生活のサポートを続けています。
生活スペースや家事動線はある程度分かれており、過度な干渉はありません。
結婚後はお相手のお気持ちを尊重しながら、プライバシーや生活リズムにも十分配慮した形で、無理のない同居(または近居)を一緒に相談して決めていけたら嬉しいです。
盛り込める項目例:
- 生活動線の独立
- 親御さまの干渉の有無
- プライバシーの確保状況
- 二世帯住宅の有無
- 将来の介護は兄弟と分担、サービス併用 など
→ 「実際の生活イメージ+配慮」があると、お相手は安心しやすい。
受け入れ側(プロフィールでは“構わない/難しい/要相談”を適切に使う)
IBJのプロフィールには、
「お相手の家族との同居について」
→ 構わない/難しい/要相談
の三択があります。
受け入れ側はこの三択をなんとなく感覚的に選ぶのではなく、判断基準を言語化しておくことが大切です。
ここが曖昧なまま交際に入ると、後半でズレが一気に露呈しやすくなります。
■ 【受け入れ側】三択の使い方(整理ポイント)
● 構わない
→ 親御さまとの距離感や生活スタイルに柔軟に合わせられる
→ 生活リズムやプライバシー面で大きな抵抗がない
→ 二世帯住宅での独立性や、親御さまの干渉の少なさも許容できる
● 要相談
→ 現実的に使われることが多い選択肢(実務上の傾向)
→ 条件次第で可能(生活動線・二世帯・期間限定・近居 など)
→ 不安があるが、話し合いで解消できる余地がある
→ お見合い時や初期交際で“何を確認したいか”を整理しておく必要がある
● 難しい
→ 完全同居は生活リズムやプライバシー面で負担が大きい
→ 過去の経験や心理的抵抗が強い場合
→ ただし「近居ならOK」など、代替案を自分の中で持っておくと合理的
■ 【受け入れ側】事前に整理しておくべき不安と判断ポイント
- 生活リズム(朝型・夜型・在宅勤務など)
- プライバシーの確保(自分のスペース・静かな時間)
- 親御さまの干渉度
- 経済負担(住居費・光熱費・食費)
- 将来の介護負担(外部サービス併用か)
→ これを整理してから三択を選ぶと、プロフィールが“誠実な姿勢”として伝わる。
■ お見合い・申受け判断に活用できる
受け入れ側が三択の基準を持っておくと、
- 申受け判断
- 申込み判断
- お見合いで確認すべきこと
- 初期交際の話し合い
がすべてスムーズになる。
交際中に確認しておくべきこと
同居は生活そのものに関わるテーマのため、交際中に“どこまで具体的に話せているか”が安定度を大きく左右します。
遠慮して後回しにすると、真剣交際〜成婚前にズレが露呈しやすいため、以下の内容は早めに少しずつ話題に出しておくのが理想です。
■ 親の生活状況・健康状態
- 日常の生活レベル
- 医療・通院の頻度
- 親御さまの性格・生活リズム
→ 同居の頻度・必要度・サポート量が判断できる基礎情報。
■ 住居(同居・近居・二世帯などの形)
- 現在の住まいの構造(完全同居・部分同居・二世帯)
- 将来的な住み替えの可能性
- 新居を別に構える選択肢はあるか
→ “実際どんな暮らしになるのか” のイメージ共有が重要。
■ 家事・生活分担
- 親が担っている家事
- 自分が担う家事
- 夫婦でどう分けるのか
→ 同居で最も揉めやすい“境界線”を事前にすり合わせる。
■ 経済面(住居費・生活費・リフォーム費)
- 住居費・光熱費・食費の負担割合
- 住宅ローンや固定資産税の扱い
- リフォームや設備更新の費用負担
→ お金の話が曖昧だと、結婚後に大きな誤解を生む。
■ 将来の介護の見通し
- 介護が必要になる可能性
- 兄弟との分担意向
- 外部サービス(デイ・訪問介護・ショートステイ)利用前提か
→ “全部自分たちがやる前提なのか?”という不安を取り除くための重要項目。
■ 兄弟の役割
- 兄弟の同居・近居状況
- 今後のサポート意向
- 緊急時の協力体制
→ 夫婦だけで抱えるのか、家族全体でサポートするのかが大きく変わる。
🔍 補足
これらは一度に全部聞く必要はなく、2〜4回目のデート〜真剣交際前のタイミングで、少しずつ確認していくのが自然。
トラブルを避けるポイント
同居の話題は、結婚観や家族観に直結するため、“少しの誤解” がそのまま大きな不安につながりやすい領域です。以下のポイントを押さえておくだけで、不要なトラブルのほとんどは事前に防げます。
■ 後出しをしない
同居の有無や条件を、交際が深まってから突然伝えると、相手は「なぜ最初から言ってくれなかったの?」と不信感を抱きやすくなります。プロフィール・お見合い・仮交際のどこかで早めに共有することが鉄則。
■ 親の意見をそのまま相手にぶつけない
「親がこう言っているから」と一方的に伝えると、相手は“親の希望を押し付けられた”と感じやすくなります。
まずは自分自身がどう感じ、どう考えているかを優先して伝えること。親の意向は「相談の材料」として扱うのがベスト。
■ 夫婦の生活が中心であることを共有
同居をしても、生活の中心は夫婦であることを前提にする必要があります。
その視点が共有できていると、「親の生活に合わせることになるのでは?」という相手の不安を大幅に減らすことができます。
同居は“夫婦+親”ではなく、“夫婦が主軸、親はサポート対象”という位置づけを明確に。
■ 外部サービス併用の視点を持つ
介護や家事支援は、今は家族だけで背負う時代ではありません。
デイサービス、訪問介護、家事代行など外部サービスを併用することで、夫婦の負担・ストレス・トラブルを大きく軽減できます。
“同居=全部自分たちがやる” という誤解を避ける視点が大切。
Owenが提供できるサポート
同居の話題は、結婚観・家族観に関わるため、“伝え方” と “整理の仕方” が結果を大きく左右します。
Owenでは、実際に提供できる範囲に絞り、現実的で役立つサポートに特化しています。
■ 同居条件の整理(レベル可視化)
- 完全同居
- 部分同居(二世帯・生活動線が分かれている)
- 近居(徒歩圏)
- 将来的な同居の可能性
これらをヒアリングし、言語化・可視化 することで、相手に誠実に伝えるための土台を整えます。
■ 伝え方・文言の調整(プロフィール・メッセージ)
同居条件は、曖昧なまま伝えると誤解されやすいテーマです。
- プロフィールでの書き方
- 申込み時の一言
- お見合いで触れるかどうか
- 仮交際で伝えるタイミング
など、受け取りやすく、誠実さが伝わる表現 に整えます。
■ 相手相談所への情報共有(仲人同士の橋渡し)
必要に応じて、相手相談所との間で以下を丁寧に共有します。
- 同居の背景
- 親御さまの生活スタイル
- 生活動線・プライバシーの確保
- 将来の見通しや柔軟度
仲人同士が事前に認識を合わせることで、誤解や不安を防ぎ、交際が安定しやすくなります。
おわりに
親同居は決して不利な条件ではありません。
大切なのは、早期共有・伝え方・生活設計・線引き の4つを丁寧に整えることです。
ここが揃っていると、同居は「負担」ではなく、
家族を大切にできる誠実さ・責任感・思いやり として伝わります。
同居を巡る課題は、誰もが語りにくく、誤解も生まれやすい領域です。
だからこそOwenは、このテーマを最も深く、現実的なレベルで伴走できる結婚相談所を目指しています。
あなた自身の人生と家族を大切にしながら、無理のない未来を一緒に形にしていきましょう。
